blog_posts 2024年2月20日

第二章 雨音と足跡

#猫の健康 #猫のおもちゃ
第二章 雨音と足跡
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雨が、窓を叩いている。

湊は目を開けた。時計を見る。午前三時二十四分。
カーテンの隙間から、街灯の光がぼんやりと差し込んでいる。
その光の中を、雨粒が斜めに走っていくのが見えた。

のどが渇いている。
起き上がろうとして、足元に重みを感じた。

黒猫だった。
あの夜から三日。猫は毎晩、決まって深夜に現れるようになっていた。
どこから入ってくるのか、相変わらず分からない。
朝になると、いつの間にか姿を消している。

猫は丸くなって眠っていた。
呼吸に合わせて、小さく体が上下している。
その姿を見ていると、なぜか胸の奥が締め付けられるような感覚になる。

湊はそっと足を動かして、ベッドから降りた。
猫は一瞬目を開けたが、すぐにまた閉じた。
信頼されている、というほどでもない。
ただ、警戒されていないだけ。
それでも十分だった。

台所で水を飲む。
雨音が強くなってきた。
窓の外を見ると、道路が川のようになっている。

ふと、玄関のドアを見た。
鍵は、かけたはずだ。
チェーンも、している。
なのに、猫はここにいる。

湊は猫の寝ている場所まで戻った。
床に座り込んで、猫を見つめる。
濡れた形跡はない。毛並みはさらさらと乾いている。

「君は、どこから来るんだ」

小さくつぶやいた。
猫の耳がぴくりと動いた。
でも、目は開かない。

雨音の中で、猫の寝息だけが規則正しく聞こえている。
その音を聞いていると、不思議と眠気が戻ってきた。

湊は猫の隣に横になった。
床は固くて冷たいけれど、なぜか心地よかった。
猫の体温が、わずかに伝わってくる。

目を閉じる。
雨音と、猫の寝息と、自分の心臓の音。
それらが混ざり合って、ひとつの静かなリズムを作っていた。

朝、目が覚めると、猫はいなかった。
床には、小さな足跡だけが残されていた。
濡れた足跡。

窓の外を見る。
雨は、まだ降り続いていた。

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